「運動は疲れるから嫌い」

スポーツ・体育

 体育嫌いについては、指導環境や指導方法を工夫するなど、他者の働きかけにより改善できることが少なくありません。また、仮に好きになれなかったとしても、体育をやらされるのは授業を受ける必要のある年齢までです。それ以降は好きな運動を楽しみながらやれば良いのです。しかしながら、スポーツ庁の調査(スポーツ庁,2016)によると、運動やスポーツが嫌いな人の約6割が、その理由として「疲れるから」と答えています。嫌いな理由が“自分の中”にあり、他者の努力ではどうすることもできない上に、時間による解決も期待できません。
 
 「疲れるから」という回答については、幼少期からの生活習慣に起因する運動不足の可能性があり、子どもの体力や運動能力が低下しているという報告と関係がありそうです。
 子どもの体力や運動能力は昭和60年度をピークに下がり続け、平成12年度が最も低くなっています。その後微増傾向にはありますが、依然として低い水準で推移しています。その原因として、身体活動を軽視する意識や子どもを取り巻く環境の悪化、子どもの発育・発達にとって望ましくない生活習慣等が指摘されていますが、直接的な原因は子どもたちが「3つの“間”」すなわち「時間」「空間」「仲間」を失ったことにあります。子ども達は遊びたくても遊べないのです。

『大学生のための体育講義-今日つくる未来・今日を生きる知恵-』:推敲舎(2018)より自著部分を抜粋

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